成年後見

成年後見

大切な家族を守る制度をご存じですか?
成年後見制度は、認知症、精神上の障害(知的障害、精神障害など)により、判断能力が十分でない方が不利益を被らないよう、家庭裁判所に申立てをして、その方を財産面や生活面で保護したり支援したり支援してくれる人を付けてもらう制度です。
援助できる方が、その方の側にいらっしゃらない場合は、私達司法書士のような専門職後見人は就任することも可能です。
たとえば、一人暮らしのお年寄りが悪質な訪問販売員に騙されて高額な商品を買わされてしまうなどといったことを最近よく耳にしますが、こういった場合にも成年後見人制度を上手に利用することによって被害を防ぐことができる場合があります。

成年後見制度とは

法定成年後見制度の3つの区分

成年後見制度は、本人の判断能力の程度により、次の3つに区分されます。
成年後見・・・本人の判断能力がほとんど無い場合
保佐・・・本人の判断能力が著しく不十分な場合
補助・・・本人の判断能力が不十分な場合

成年後見人には誰でもなれるの?

成年後見人・補助人・保佐人は家庭裁判所が選任します。選任にあたっては欠格事由があり、
1)未成年者
2)家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人、補助人
3)破産者
4)被後見人に対して訴訟をし、またはした者並びにその配偶者及び直系血族
5)行方の知れない者
となっています。
成年後見人には親族がなる場合もありますし、専門家(弁護士・司法書士・福祉関係者)がなる場合もあります。

成年後見人の仕事とは?

成年後見人は身上監護と財産管理をすることが仕事です
成年後見人には広範な代理権が自動的に与えられ、本人の為に
1)本人の預貯金や不動産の管理
2)本人の保険金や年金の受領
3)本人に代わって色々な(施設入所・車椅子のレンタル等)契約の締結
4)上記以外の法律行為(遺産分割協議・相続放棄・契約の取り消し等)
を行います。また、成年後見人の仕事は家庭裁判所によって監督されます。

司法書士と成年後見

当事務所は、社団法人成年後見センターリーガルサポートへ入会しております。このリーガルサポートでは、成年後見人としての資質を担保・維持するために毎年研修を行われ、成年後見人司法書士は家庭裁判所だけでなくリーガルサポートへも定期的な報告が義務付けられています。
これにより、家庭裁判所・リーガルサポート双方からの監視も受け、適切な業務遂行を担保致します。
なお、このリーガルサポートは、強制加入ではありませんので、会員ではない司法書士も多数存在し、成年後見申立はするけども、その後見人候補者になることを拒否する司法書士も存在します。

当事務所は、これまで家庭裁判所・リーガルサポートの推薦を受け、多数の成年後見事件を受任しております。当事務所へ安心してお任せ下さい。お気軽にお問い合わせ下さい。

具体的には、以下のようなお悩みをお持ちの方に利用できる制度です。
○ 認知症の親を悪質商法から守りたい!
○ 知的障がいのある子供の将来が心配・・・
○ 自分が将来、判断能力が衰えた後のことを考えて、今のうちから信頼のおける後見人を選んでおきたい。
○ 親が最近物忘れがひどくなり、買い物をするにも支障が出るようになった。
○ 認知症の父が所有している不動産を売却して入院費に充てたい。
○ 寝たきりの父の世話をしているが、他の兄弟から財産管理の面で疑われている。
○ 老夫婦のみで暮らしているが、生活が困難になったときに子供たちには面倒をかけたくない。
 

ご準備して頂く添付書類

▶戸籍謄本
ご本人の戸籍謄本    1通
後見人候補者の戸籍謄本 1通

▶住民票
ご本人の住民票    1通
後見人候補者の住民票 1通

▶診断書(成年後見申立用)
本人の判断力の状態について主治医に診断書を書いてもらいます。通常の診断書とは異なります。病院で「成年後見用の診断書が欲しい」とお伝えください。

▶本人の財産について詳細がわかる資料
後見申立に際して、本人の「財産目録」を家庭裁判所に提出しなければなりません。そのため、財産の状況を確認できる資料が必要になります。

【具体例】
・通帳のコピー
・生命保険等に加入されている場合は、保険証券のコピー
・不動産を所有されている場合は、固定資産税の納付書のコピーなど

▶本人の月間及び年間の収入/支出がわかる資料
後見申立てに際して、本人の「収支報告書」を家庭裁判所に提出しなければなりません。そのため、月間及び年間の収入/支出を確認できる資料が必要になります。

【具体例】
・年金の支給額確認書のコピー
・直近3ヶ月程度の医療費の領収書のコピー
・生活費の領収書のコピーなど

▶登記されていないことの証明書(東京法務局発行の成年後見に関する登記事項証明書)

ご本人がすでに後見等の審判が出ている方に重ねて後見等の審判をすることはできません。そのため、現在成年後見等の審判がされていないことを証明するための資料として添付します。

任意後見制度について

「任意後見制度」とは、本人がまだ契約締結や財産管理に必要な判断能力を十分に有している間に、将来認知症になった場合等、判断能力が衰退した時に備えて、予め信頼できる人に自分に代わって法律行為等を任せる内容の契約を事前に締結しておく制度です。
「自分の老後は自分で決める」という(難しい言葉で言うと「自己決定権の尊重」といいます)積極的な考え方に基づく制度です。

「今は元気だけど、将来認知症等になったらどうしよう…」という不安を感じている方が、将来のもしもの時は自分の面倒を見てもらいたいという人と事前に任意後見契約を結んでおき、必要が生じたら家庭裁判所に申立をして任意後見人の就任をしてもらう仕組みです。

任意後見契約は、本人と信頼できる人(任意後見受任者)との間で交わしますが、これは必ず公証人役場で“公正証書”にしなければ効力が発生しません。

委任する内容は、本人の判断能力が低下した状況における、本人の生活・療養看護・財産管理等に関する事務で、そのための代理権を任意後見人に授与する形になります(事務の範囲・内容は、本人と任意後見受任者との間で自由に決められます。ただし、結婚・離婚・養子縁組などの一身専属的な権利については、任意後見契約に盛り込むことはできません)。

そして、任意後見契約が締結されると、この内容が法務局に“後見登記事項”として登記されます。

なお、登記される事項は、任意後見監督人の選任(任意後見契約の発効)前であれば、下記のとおりとなります。
①本人の住所氏名
②任意後見受任者の住所氏名
③代理権の範囲

また、任意後見監督人の選任(任意後見契約の発効)後であれば、下記のとおりとなります。
①本人の住所氏名
②任意後見人の住所氏名
③任意後見監督人の住所氏名
④代理権の範囲
判断能力の衰退がみられた時点で、本人や任意後見人等が家庭裁判所に申し立てをして、任意後見監督人を選任してもらいます。
この任意後見監督人の選任をもって、任意後見人の代理権が発生(任意後見契約が発効)することになります。

以後、任意後見人が本人に代わって財産管理等の後見事務を行い、それを任意後見監督人がきちんと仕事をしているかチェックします(任意後見制度での家庭裁判所の関与は、任意後見 人を家庭裁判所が選任した任意後見監督人を通じて監督するにとどまります)。

任意後見の種類

任意後見には、任意後見契約発効の時期や発効までの間に交わす契約によって、大きく3つの利用形態(プラン)があります。1.将来に備える将来型、2.判断力が正常なうちから少しずつ後見人を利用して、最終的に必要になったら後見をスタートさせる移行型、3.契約締結とほぼ同時に後見を始めてしまう即効型です。それぞれの利用方法の特徴は次の通りです。

1.将来型

将来の判断力の低下(認知症の発症)に備えて、予め判断能力のある元気なうちに任意後見契約を締結しておく形態です。財産管理契約(任意代理契約)は結ばず、見守り契約のみで定期的に連絡だけを取りながら将来の契約発効を待つ形態で、任意後見で最もシンプルなプランなので「本来型」と表記されることもあります。
将来の人生設計を十分に考慮した上で、信頼できる後見人を必要な人数だけ確保しておけるので、任意後見契約特有の自由度を享受しつつ、実態としては法定後見に近い形で後見を開始する方法といえます。

2.移行型

将来の判断能力低下に備えつつ、判断能力が健常なうちから必要に応じて財産管理などの援助を開始してもらう形態です。
早い段階から信頼できる人に財産管理も任せたい場合や、身体的な衰え等の理由により財産管理が負担となっている方にお勧めです。
この方式は、任意後見契約と財産管理契約(任意代理契約)という委任契約を同時に締結しておき、まず通常の委任に基づき財産管理を行い、判断能力が不十分になると任意後見契約を発効させて、業務を委任から後見へとスムーズに移行するプランです。

通常、任意後見監督人が選任された(任意後見契約が発効した)場合には、財産管理契約が終了する旨の特約を設けておき、自動的に財産管理契約を終了する方法をとります。

2-2.段階型

なお、3つの類型には入りませんが、この移行型にさらに見守り契約を合わせる「段階型」というのもあります。
これは、今はまだ元気なので見守り契約のみで定期的に連絡を取ったりできればいいが、将来的に判断能力はあるが、身体が不自由になった時からは、財産管理の支援もほしい、そして最終的には、任意後見人として財産管理をしてほしいというプランで、将来型と移行型の合わせ技のような万全のプランといえるかもしれません。

3.即効型

すでに判断能力の低下がみられるので、任意後見契約締結からほとんど間を置かずに、すぐに任意後見を開始する形態です。
任意後見契約は清明な段階で準備しておくのが理想ですが、自分の衰えは認識しつつも、いざ他人に財産を任せようとするとなかなか決心がつかないものです。そうこうするうちに、認知症の症状が出始め、援助の必要性を実感し、この即効型を利用するということも少なくないでしょう。
また、軽度の知的障害、精神障害のある人が任意後見を利用しようとする場合は、この類型を利用することになるでしょう。

任意後見は、法定後見における補助相当、つまり、かなり軽度の判断能力の低下でも開始できますので、能力の低下が軽い分には問題はありません。
しかし、反対に任意後見契約を締結できるだけの判断能力が残っていることが必要になりますので、注意が必要です。
認知症が進んで、任意後見契約の意味を理解できない程度になると、法定後見制度を利用しなければなりません。本人の判断能力が微妙なケースでは、公証人から医師の診断書の提出を求められます。

任意後見契約に必要な書類と費用など

任意後見契約は、公正証書にしなければ効力が発生しません。公正証書にするためには、公証人役場で公正証書にする手続をしなければなりません。
公正証書にする手続に必要な書類は、原則として以下のとおりになります。
1.本人の戸籍謄本・住民票・印鑑証明書
2.任意後見人受任者の住民票・印鑑証明書
3.本人・任意後見人受任者の本人確認資料(運転免許証やパスポートなど)
4.本人・任意後見人受任者のご実印
※公正証書にする時点で、本人の契約締結能力(判断能力)に疑問がある場合には、公証人への診断書が必要になる場合があります。

任意後見契約公正証書作成手数料
基本手数料・・・・・・・・・・11,000円
登記嘱託手数料・・・・・・・・ 1,400円
登記所に納付する印紙代・・・・ 2,600円

その他、正本などの証書代、登記嘱託書郵送代(実費)、はがき代(実費)が必要になります 。
また、役場外に出張する場合には加算手数料、日当、交通費等が必要となります。

公正証書にする手続に必要な費用としては、まず、公証人への手数料として1契約につき11,000円かかります。たとえば、移行型で財産管理、任意後見、死後事務委任契約を締結する場合、3契約となります。
複数の任意後見人を立てる場合でも権限の共同行使の定めをするときには1契約の取り扱いですが、権限の共同行使の定めをしないときは、1通の公正証書にしても任意後見人の数ごとに契約の数があることになり、手数料が上がってきます。
もし、自宅や病院等まで公証人に出張をしてもらう場合には、公証人手数料が、上記11,000円の手数料の50%(5,500円)が加算され、さらに旅費・日当が必要になります。
また、当事者に交付される正本の作成費用もかかりますし、後見登記の嘱託手数料1,400円と登記手数料4,000円も必要になります。
任意後見人を一人として任意後見契約を締結するには、全部で2~3万円の実費がかかることになります。


相談のご予約等は、お問い合わせフォーム若しくはお電話にてお寄せ下さい。
※なお、メール、電話での法律相談は承っておりませんのであしからずご容赦下さい。